【 考察録 】菌糸瓶作成 クリアスライダー編


クワガタを効率的に成長させる方法として菌糸瓶での飼育が確立されています。

 

 

既成のボトルや菌糸ブロックの種類、詰め方、温度管理など各ブリーダー毎にこだわりのポイントがあることと思いますが、私は近年、酸素供給量の重要性について検討しています。

幼虫の暴れの現象は酸素不足が要因とされることが多く、不用意に移動することでの菌床の劣化や幼虫の体重減少なども引き起こすため大型の成虫を目指すには避けては通れない部分だと認識しています。

この酸素供給の問題は菌糸の詰め方や粒子の細かさにも左右されるかもしれませんが、詰め方については固詰めのほうが劣化が少なく、粒子は粗い方が長持ちする傾向にあります。

主に私の使用している菌糸は中粒子が主体で、詰め方はハンドプレスで限界まで固詰めですので、あまり改良の余地がありません。

そうなると酸素供給量の増加には容器を変更するしかないのではという結論に至りました。

 

 

余談になりますが、フィルターを交換した菌糸ボトル800ccで後食したオオクワガタの成虫を一時保管していたことがありました。餌交換の頻度は2〜3日に1回ほどでその時ぐらいしか容器の開閉は行わなかったのですが、酸欠による仮死状態になってしまった子が3頭いました。

幸いにも容器を変更すると元気になり、産卵もしてくれたので一時的なものだったのですが成虫管理には充分な通気性を担保しているとは考えづらくなった事例です。

酸素消費量は幼虫<成虫でしょうから幼虫管理にはあまり支障ないと考えられるかもしれませんが、菌糸瓶においては当然ながら菌糸も酸素を消費します。さらに固詰めの状態で空気の透過量も少ないとなれば自ずと酸素の割合は減ってしまうでしょう。幼虫が暴れることで菌糸が活性化してしまうと尚更酸素の消費量は大きくなります。

つまり成虫管理と同様に酸素不足を起こしてしまう可能性が否定できないわけです。

慢性的に酸素不足というわけでなくても急激に酸素濃度が低下すれば幼虫にはストレスになるわけで、この改善策として考えたのが、今回のクリアスライダー菌糸ケースです。

 

 

通常のクリアスライダーであれば、容量は1400ccです。

オオクワガタであればまさに2本目の菌糸瓶に必要なサイズと合致します。

コバエなどの侵入がなく、通気性と収納性を確保したケースとしてはこの上ないでしょう。価格面もクリアボトルに比べると割高ではありますが、羽化後の成虫管理などにも転用可能なことからもあるに越したことはありません。

私の詰め方であればDDAの菌糸ブロックやAG菌糸であれば以下の分量を作成出来ました。

 

 

G-ZEROブロック×10

(クリアスライダー×20)+(800cc×5)

G-ZEROブロック×20

(クリアスライダー×41)+(800cc×8)

F-ZERO ( クヌギ : ブナ = 1 : 1 )ブロック×10

(クリアスライダー×19)

F-ZERO ( クヌギ : ブナ = 1 : 1 )ブロック×20

(クリアスライダー×34)+ (800cc×9)

AG菌糸ブロック×10

(クリアスライダー×12)+ (800cc×14)+(コバエシャッター小×1)

 

今後の飼育記録とともに菌糸クリアスライダーの効果を検証していきたいと思います。