果たして菌糸瓶の容量は多い方がいいのか。
能勢YGのブリードを本格的に始める前に虫屋ドットコムさんで購入した能勢産地のオオクワガタ。
写真はイメージです。
種親は♂89×♀57とのことですが、他の血統背景がわからないため実験的に菌糸瓶に投入し、繁殖はさせずに過ごしてもらおうというラインになります。
幼虫は計3頭いるのですが、1本目交換時に体重の乗りが比較的に良かったのは1頭だけでしたので、この子に頑張ってもらい仮説の検証をしていきます。
さて、オオクワガタの幼虫(♂)飼育ではおおよそ800cc→1400cc→1400ccで羽化させるという流れが主流かと思います。
瓶の本数の増減はあれど容量を増やすということはまずないでしょう。
というのもオオヒラタ群などのようにドカ食いするタイプの幼虫ではないため、3ヶ月おきに交換するのであれば1400ccあれば事足りるからに他なりません。
一方で、菌糸瓶交換による幼虫のストレスはその本数が増える度に増加してしまいます。
出来るとなら交換回数は減らしたいところ。
オオクワガタに限らずですが、クワガタの幼虫の成長期は2齢〜3齢中期あたりがピークです。
この期間にいかに食べてもらうかに尽きるのですが、当然その前後の期間も重要な役割を果たしていると思っています。
私の思う菌糸交換の理想は成長期末期に最終ボトル(羽化ボトル)に交換することです。
羽化前のワンダリングによって体重が減少するのは致し方ない部分ですが、それまでの期間にある程度周囲の菌糸を食べていれば蛹化するに状態の良い土壌が形成されることになります。
しかし、あまり食べ進んでしまうと菌糸の持ちが悪くなるので、ここの調整が難しいところです。
さて、今回検証してみたいのは2本目の期間を延長させて3本目途中あたりで羽化させてしまおうということです。
具体的には800cc→コバエシャッター中(3200cc)→1400ccのリレーになります。
1本目は2月19日にF-ZEROブナ50%に投入し、5月24日に交換。交換時の体重は28g。2本目となるコバエシャッター中にはG-ZEROを詰めているのでどんな成長を遂げているか楽しみです。
割り出しのタイミングでは写真を撮っていなかったので、いきなり幼虫取り出し後になってしまいますが、食痕はこんな感じ。
食べ進んでマット状になったオガを退けるとその全貌が明らかになりました。
居食いというと丸くくり抜かれたような穴をしていることが多いですが、容器が長方形で十分に大きいと横長のスペースになるようです。
そこの方からしっかり食い上がって来ていました。
断面図はこんな感じ。
コバエシャッター小に深さ12cmぐらいまで菌糸を詰めていましたので結構大きい食痕です。
さて、気になる幼虫の体重ですが、34g。
前回の交換時は28gでしたからしっかりと成長もしてくれています。
そしてだいぶ脂肪分を溜めて黄色味が強くなっているので、次のボトルで羽化までいってくれるでしょう。
このままスムーズに羽化してくれれば(早期羽化気味だとしても)80mmOVERは確実と言えそうです。
検証としては数が足りないのでなんとも言えませんが、少なからず容器が大きいに越したことはないかと思います。
内部環境の変動なども容量が多くなると少なくなるはずなので、周りの菌糸が強すぎない限り極力ストレスを与えずに飼育できるでしょう。
しかし、今回のようにオオクワガタを3200cc級の容器に入れてブリードしていくのはコスト面的に現実的ではないでしょう。
超大型を見込めそうな幼虫を選別して投入することが出来るのであれば選択肢として考えても良さそうです。
個人的には4ヶ月引っ張っても問題ないという部分に魅力を感じますので、来季のブリードでは大型が見込めそうな個体を複数このパターンで飼育してみようと思います。