MT160 菌糸の廻り方編


菌の廻りが遅いとされる微創研のMT160。

果たしてその廻り方は、、、

 


菌糸について


 

菌糸の廻り方は菌種や詰め方、詰める容器の素材、通気性などにもよって異なる部分かと思いますが、活発な菌種であれば2、3日で白い膜を形成してくれます。

 

 

我が家で主に使用しているのはDDAさんのG-ZEROとF-ZERO、KBファームさんのAG菌糸、そして稀に北斗恵栽園さんのタダノヒラタケなのですが、どの菌糸、菌種でも丸2日もすればボトルの外壁は白く見えるようになります。

 

 

ちなみに培養時の温度は基本的に変えておらず22℃〜23℃(エアコン23℃設定)で器具の消毒などは最低限行う程度です。

私が使ったことのない菌糸でも、有名どころの菌床であれば大体同じような感じになるのではないでしょうか。

しかし今までの内容は、菌種がオオヒラタケもしくはヒラタケという最もオーソドックスな菌種を対象にしており、それ以外の菌糸では未知数な部分でもあります。

 

 

今回のテーマ” MT160 “という菌糸はブリード界隈では名前こそ知られていますが、マイナー種と言っても差し支えないでしょう。

今回はそんな菌糸の勝手なレビュー回になります。

 


MT160(エムティーイチロクマル)とは?


 

MT160(エムティーイチロクマル)は、オオヒラタケやヒラタケなどと同様、白色腐朽菌の仲間で和名は” シワタケ “、学名は” Merulius tremellosus “といいます。

ちなみにM.Tは学名の頭文字、160はメーカーの菌株保存番号BMC-9160の末尾に由来しているようです。

どうやらヒラタケ類としても扱われることがある様ですが、実際どうなんでしょうね。

特徴は菌糸の持ちが大変良く、キノコの発生がほとんどないこと。

菌床の劣化が起こりにくいので2度食いや3度食いまで可能で投入期間を引っ張れることが最大のメリットとなります。

 

写真はイメージです。(オオヒラタケの菌糸瓶)

ちなみに菌糸詰めの行程は前回のblog “ 魅惑の菌糸 MT160 “を見ていただけると嬉しいです。

 


経過観察


 

今回は菌糸詰めを行なってからの日数と菌糸の状態を列挙していきます。

菌糸詰め直後

 

MT160は菌が廻り始めると詰まってくる性質があるようで、他の菌種に比べると軽めに詰める必要があります。

そのため詰めた直後はこのように間隙が目立つのですが、この部分にもやがて菌が巡ります。

 

24時間経過時(丸1日後)

 

オガの周囲を中心に少し菌の皮膜が出現し始めます。まだ白く見えるというほどではありませんが、全体的にこの兆候が現れていれば菌が活発に活動してくれていると判断して良いかと思います。

48時間経過時(丸2日後)

 

詰め始めて48時間も経つと一気に皮膜が広がります。他の菌種との違いはこの段階から菌が黄色味を帯びているという部分で皮膜周囲の水分量も多い印象です。

 

 

側面が全てこのような状態になっていれば、まず菌糸詰めは成功と言って良いでしょう。

 

72時間経過時(丸3日後)

 

72時間経過時の写真がこちらです。皮膜でしっかりと覆われた菌糸はオガの部分がほどんど見えなくなります。

 

 

ご覧の通り他の菌種に比べるとだいぶ黄色いですね。ところどころ特に黄色く見える部分は菌からの水分が溶出している箇所です。

 

96時間経過時(丸4日後)

96時間経過するとこうなりました。

壁面の間隙やオガは見えなくなり完全に菌の膜に包まれています。

 

 

写真外の部分でいくと底面は未だにオガが見える状態ですので、おそらくシワタケは発菌時に酸素要求量が多い種なのでしょう。参考までにオオヒラタケやヒラタケ系統であればこの状態なら底面も同様に白くなっています。

1週間後

1週間も経つと皮膜は黄色味が一層強くなり、周囲から包み込むようにして上部のオガを覆っていきます。

この段階では底面と上部こそオガが見えますが、熟成するに伴って皮膜が形成されます。

 

 

 


まとめ


 

意外にもオオヒラタケやヒラタケ類と同様に2、3日も経てば皮膜を形成してくれることが分かりました。

飼育環境によっては扱いにくい菌糸かもしれませんが、詰め終わった段階だけで考えると我が家のブリードルームとは相性が良さそうです。

 

 

菌糸の熟成についても触れられることの多いMT160なのですが、どうなんでしょうね。

個人的な感覚だけで言わせていただくと1ヶ月もすれば十分使える状態になっていそうな気がします。

この辺りは今後も検証していきたいですが、アンタエウス用に熟成させる分を残して他は使おうかと思います。

さて、菌糸瓶作成は上手くいきましたが、実際に重要なのは次のステップ” 幼虫の管理 “です。

季節柄、我が家で現在食べ盛りの幼虫はフォルスターキヨタミと本土ヒラタ、ムシモンぐらい。

この中でサイズを目指したいのはキヨタミなので、今回作成した菌糸瓶はキヨタミをメインに使用したいと思います。

ちなみにキヨタミ群は孵化直後もしくは絶賛孵化中ですので、菌糸投入は1ヶ月後を目安に予定しております。